産業用搾油機の価格は、搾油方式・処理能力・前処理設備の範囲・自動化の程度・輸送や設置の条件で変わるため、一律の価格帯では表せません。見積の前に、主原料と目標生産量、設置場所、電源条件を整理します。日本の工業用三相電源は200Vで、周波数は糸魚川と富士川を結ぶ線の西側が60Hz、東側が50Hzに分かれます。
産業用の搾油機を検討する段階で最初に知りたいのは価格ですが、搾油機はカタログ価格で決まる機械ではありません。処理能力、方式、前処理設備の構成、設置条件によって構成が変わるため、同じ「産業用オイルプレス」でも金額の幅が大きくなります。
本記事では、価格を決めている要因と見積依頼の際に伝えるべき情報、処理能力の読み方、そして韓国製の機械を日本で稼働させる際に確認が必要な電源条件を整理します。金額そのものは構成によって変わるため記載していません。判断に必要な項目を先に把握していただくことが目的です。
産業用搾油機(オイルプレス)の価格を決めている要因
搾油機の価格は、次の5つで大きく変わります。
- 搾油方式 — 油圧式か連続式(スクリュー式)か。構造が異なるため、同じ処理能力でも価格帯が変わります。
- 処理能力 — 毎時15kg級と100kg級では機械のサイズ・重量・モーター出力が変わります。
- 前処理設備の範囲 — 搾油機単体か、石抜き機・熱風洗浄機・焙煎機・清澄タンクまで含むラインか。搾油機本体より周辺設備の合計が大きくなる構成もあります。
- 自動化の程度 — 投入・排出・搬送のどこまでを機械化するか。真空搬送機を含めるかどうかで構成が変わります。
- 輸送・設置・電源工事 — 海外製機械では本体価格以外の項目が総額に影響します。特に電源工事は後述の条件によって金額が変わります。
見積を依頼する際に伝える情報
見積の精度は、依頼時の情報量で決まります。次の項目を先に整理しておくと、比較可能な見積が出ます。
| 項目 | 具体的に伝える内容 |
|---|---|
| 主原料 | ごま・えごま・亜麻仁など。焙煎するか生搾りか |
| 目標生産量 | 1日または1か月あたりの油の量。原料量でも可 |
| 稼働時間 | 1日の稼働可能時間、週あたりの稼働日数 |
| 設置場所 | 床面積、天井高、搬入経路の幅、床の耐荷重 |
| 電源 | 三相200Vの容量、周波数(50Hz/60Hz)、受電設備の余裕 |
| 前処理の有無 | 既存設備があるか、一式で必要か |
| 納期 | 希望時期。輸送期間を含めた逆算が必要 |
「予算はいくらか」より先に「何をどれだけ搾りたいか」を伝えるほうが、構成の過不足を防げます。
処理能力の読み方 — 連続式と1回投入式
処理能力は毎時の数値で示されますが、方式によって1日の生産量に与える影響が変わります。
- 連続式 — 原料を止めずに投入し続けられます。稼働時間がそのまま生産量に反映されます。
- 1回投入式(油圧式) — 1回分を投入して搾り、取り出してから次を投入します。毎時の数値にはこの繰り返しが織り込まれていますが、段取りの時間が加算されます。
当社の機種を、1日8時間稼働で単純換算すると次のようになります。
| 機種 | 方式 | 毎時 | 8時間換算(原料) |
|---|---|---|---|
| コールドプレス 15kg | 連続式 | 焙煎ごま 15kg/生えごま 12kg | 約120kg/約96kg |
| コールドプレス 30kg | 連続式 | 焙煎ごま 30kg | 約240kg |
| コールドプレス 100kg | 連続式 | 焙煎ごま 100kg/生えごま 80kg | 約800kg/約640kg |
| 油圧式 2発 安全型 | 1回投入式(1回6kg) | ごま 30kg | 約240kg(段取り時間により下回る) |
| 油圧式 4発 安全型 | 1回投入式(1回8kg) | ごま 35kg | 約280kg(段取り時間により下回る) |
※単純換算値です。洗浄・予熱・清掃・段取りの時間は含みません。実稼働では下回ります。
処理能力を決める際は、上限で計画しないことが重要です。前処理が追いつかなければ搾油機は待機しますし、洗浄と清掃の時間は毎日発生します。目標生産量に対して余裕を持った処理能力を選ぶほうが、結果として稼働率が上がります。
韓国製の機械を日本で稼働させるための電源条件
海外製の産業機械を導入する際、見落とされやすく、かつ後から変更しにくいのが電源です。日本の電源事情は世界的に見て特殊なため、事前確認が必要です。
電圧 — 日本の工業用三相は200V
日本の工業用三相電源は200Vが標準です。海外では三相380V・400V・480Vが一般的で、韓国では三相200V/220V/380Vが使われています。
搾油機の仕様が三相380Vの場合、日本国内で稼働させるには200Vから昇圧するトランス(変圧器)を介するか、200V仕様の機械を選定する必要があります。国内向け標準のモーターを異なる電圧でそのまま使うと入力が増え、温度上昇が定格を超えるため、電圧を合わせる処置が前提になります。トランスを用いる場合は、モーターの起動電流を考慮した容量選定が必要です。容量は機種のモーター出力に応じて個別に算定します。
周波数 — 日本国内で50Hzと60Hzが分かれる
日本は一国のなかで周波数が二つに分かれています。境界は新潟県糸魚川市と静岡県富士川を結ぶ線で、西側が60Hz、東側が50Hzです。県によっては両方が混在する地域もあります。
これが実務上の分岐点になります。
| モーターの仕様 | 60Hz地域(西日本) | 50Hz地域(東日本) |
|---|---|---|
| 50Hz/60Hz共用と明記 | 使用可 | 使用可 |
| 60Hz専用 | 使用可 | そのままでは使用不可 |
| インバータ駆動 | 対応可 | 対応可 |
周波数が異なる地域で専用指定のモーターを使用すると、回転速度が変わって性能が落ちるだけでなく、過熱による故障につながります。モーターの銘板または仕様書で対応周波数を確認することが必須です。インバータで駆動する構成であれば、周波数の違いに対応できます。
導入前に確認する電源3項目
- 機械側の仕様 — 電圧、周波数、消費電力、モーターが50Hz/60Hz共用かどうか
- 設置場所側の受電 — 三相200Vの契約容量に余裕があるか、盤の増設が必要か
- 地域の周波数 — 設置場所が50Hz地域か60Hz地域か
この3点は見積の前に確定させてください。後から判明すると、トランスの追加や盤工事が発生し、総額が変わります。
技術背景と、導入後の体制について確認すべきこと
搾油専業メーカーとしての技術背景
ナショナルエンジニアリングは1970年の創業以来、搾油機に専業で取り組んでいます。コールドプレス搾油機については韓国特許第10-2449471号(2022年9月27日登録)、油圧式搾油機については韓国特許第10-1614082号(2016年4月14日登録)を保有し、特許は50件以上、輸出先は100か国以上です。コールドプレス搾油機の開発はドイツに続く世界4番目(当社調べ)としています。
品質・環境マネジメントについてはISO 9001およびISO 14001、欧州向けの適合についてはCEを取得しています。ただしCEは欧州経済領域向けの適合表示であり、日本国内の法規適合を示すものではありません。日本での設置にあたっては、電気設備の基準および食品に接触する部材の材質仕様について、個別に確認が必要です。
アフターサービスとメンテナンス — 海外メーカーを選ぶ際に確認する項目
産業用設備では、導入時の性能より導入後の継続性が事業の成否に関わります。圧搾機メーカーを比較する際、アフターサービスとメンテナンスの条件は次の項目を書面で確認してください。
| 確認項目 | 確認の内容 |
|---|---|
| アフターサービスの窓口 | 日本語での問い合わせ先はどこか。受付時間 |
| 対応の方法 | 遠隔での診断か、技術者の訪問か。訪問の場合の所要日数 |
| 費用の区分 | 保証期間の範囲、保証外の場合の費用の考え方 |
| 消耗部品とメンテナンス | 部品の在庫がどこにあるか、取り寄せの期間。定期メンテナンスの推奨頻度 |
| 据付 | 設置作業を誰が行うか、電源工事の範囲はどこまでか |
| 操作の習得 | 運転条件の指導があるか、日本語の取扱説明があるか |
これらは機械の仕様書には記載されていません。見積の段階で条件として確認し、書面に残しておくことが確実です。
機種の仕様、処理能力の選定、設置条件については会社紹介ページからお問い合わせください。